草木染め工房くらむぼん | 鎌倉の小さな谷戸で草木染め教室を行っています。植物から戴いた色で、心あたたかに。

藍建て

夏の頃のお話ですが、今年はすくも藍を建てました。
木の灰を使った昔ながらのやりかたで、十数年ぶりに行ったのですが、よい経験になりました。

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藍の分類はややこしく、ひとからげに「藍染め」と言ってしまいがちですが、藍にもさまざまな種類があります。
藍というのは、インジゴの色素を持つ植物の総称で、世界中にはたくさんの藍植物がいます。

日本では、タデ科のタデ藍が最も身近な藍植物となりますが、ほかにも沖縄の琉球藍(キツネノマゴ科)や、アイヌの人たちが好んで染めたといわれている大青(アブラナ科)など、狭い日本の中でも気候にあわせて数種類の藍植物があります。

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今回使用したのは、上の画像の「すくも(タデ藍)」です。

タデ藍は夏場であれば生葉で簡単に染めることができます。
(生葉の中の色素は水溶性なので、水の中で葉を傷つけ、加水分解させたところに布(絹)を浸し、空気にさらすなどして酸化させるだけで染まります)

生葉を発酵させて、保存に向く状態にしたものが「すくも」です。
すくもの中の色素は水溶性ではなく、何らかの方法で還元させて色素を引き出す必要があります。
その還元の方法も、また多岐に渡りさまざまに存在します。

一番簡単なのは、炭酸ナトリウムとハイドロサルファイトコンクなどの化学薬品を使って還元させること。
これなら、藍の色素を無駄なく効率的に引き出し、染めきることも可能です。

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昔ながらの還元の方法では、灰汁(木の灰)を使ってアルカリ環境を作り、すくもの中に存在する藍の還元菌や還元酵素などの働きを活性化させて藍の色素を引き出します。
木灰だけで行う方もいますし、アルカリ環境をより整えるために石灰や貝灰を使用したり、とさまざまな藍建てがあります。
*建てるというのは、藍の色素が引き出されて繊維を染められる状態になったことを言います。


藍の還元菌は30℃くらいの環境を好むといわれており、溶液の温度をあたたかく保つ必要がありますが、地域によってはまったく加温せずに建てることもあります。

また、還元菌を元気にさせるのに、日本酒や小麦などに含まれるアミノ酸の力を借りることもあります。
徳島の阿波藍は葉の中に、すでに還元菌の活性化をうながすアミノ酸を含んでいるといわれ、酒や小麦を必要としない建て方もあります。
それぞれに細かく名付けがされていますが、これらはいずれも天然自然の力を借りた藍建てになります。
正藍染めなどとも呼ばれます。

自然の力を借りるため、数値に頼ってもうまくいかないこともあり、感覚的な部分を多く働かせることになりますが、そこが天然藍建ての魅力なのだと思いました。



さて、今回の藍建ての手順を簡単にご紹介します。
(後述する理由などから、詳しい数値は記しません。
ご自身で行いたい方は、指導を行ってくれる藍染工房さんを調べてお尋ねくださいね)

まずは木灰を熱湯で溶き、一日ほど置いて上澄み液を作ります。
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その間に、すくもを練ります。
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団子状のすくもを、じっくりほぐしていきます。
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だいたいなめらかになったところで、木灰の上澄み液を熱湯で割ったものを加えます。
最後に、貝灰をぱらりと加えてphを調整します。
灰汁だけで充分にphがあるようなら、必ずしも貝灰を使わなくてもよいかと思います。
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今回は北海道産のすくもを使用したので、ふすま(小麦の粉をひいた時に出る外皮など)を灰汁で煮たお粥を加えました。
熱々で、ぱっと見たところは美味しそう…。
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時折、棒などで液をかきまわして酸素を送り込みます。
一日一度、とか、はじめのうちは一日数度とか、勢い良くとか、静かに、とかいろいろなやりかたがあるようです。

私は、なんとなく。

phが高すぎるようなら一日二度ほど勢いよく、低くなるようなら一度だけ、ゆっくりと。

今年の鎌倉(わが家のベランダ)は涼しかったのですが、最終的には温度管理はせず、低い温度でじっくりと様子をみました。
撹拌も控え、あまり手をかけないで育てていました。
きっと、今年の鎌倉の環境に適した、強い子に育つと信じて。

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一ヶ月ちょっとかかって、ようやく建った時には「わー!」と声をあげてしまいました。
本当にある日突然、急激に建ったのでした。

そこから、あわてて灰汁を足して嵩を上げ、染色作業するのに適した水位に調整しました。

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最初に、色を見るために染めた端切れです。
コールタールのような液から、こんな色が現れるなんて、本当に不思議な気持ちがします。

前回行った時は、1週間ほどで藍建てができましたが、今回はその4倍以上時間がかかりました。
すくもの状態や、水、気候などのさまざまな条件から、行うべき方法が変わってくるのだと思います。

実際はph計とにらめっこしながら一喜一憂の日々でしたが、なるべく数値にとらわれずに、辛抱強く生命に向き合うことを教えてもらったように感じます。

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はじめのうちは浅い色調で、少々濁った色でしたが、それがまた落ち着いた雰囲気で愛おしい。
そのうちに、ぐんぐん鮮やかに染まるようになり、その変化に目を瞠る思いがします

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藍が建ってからは、日々、藍の健康状況に一喜一憂です。
時にはふすま粥をあたため、風邪薬程度に貝灰を加えたり…。
もう寒くなったので、一旦休眠させて、またあたたかくなるのを待つことにしました。

天然発酵の藍からは「生きている」ちからを実感しましたが、生命を預かるだけに責任も重く感じられ、誰にでもおすすめできることではないと思いました。

もしも天然藍を建てたい方がいらっしゃいましたら、サポートをしてくれる藍染工房さんもありますので、プロのアドバイスを受けながら、ぜひとも、その生命を無駄なく色彩に昇華して戴けたらと思います。

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蓮染め

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ご依頼を戴き、蓮で染める実験をしました。

花びらと、おしべの2種類。
写真は、おしべの熱煎、みょうばん媒染です。
意外な色が導かれて、感動しました。

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上が花びら染め。オレンジベージュ系のやさしいピンク。
下がおしべ染めです。薄紅色がきれいです。

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花びらは冷凍で送ってくださいました。
クエン酸を助剤にした花びら染めですので、あまり堅牢度はよくないと思います。

でも、本当によい香りで、染液も鮮やかになり、見た目も楽しい染めです。
今回、私はクエン酸を加えた湯を使い、20分ほどの熱煎で液を取ってみましたが、クエン酸水とほとんど変わらない鮮やかな色が抽出できました。

花びら染めに高温はタブーだと思い込んでいたので、びっくり。
他の花びらではどうでしょうか。

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おしべ(冷凍)も素晴らしい香りです。
ベトナムではお茶に混ぜて飲むそうですね。

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おしべでは最初、黄色の液が取れました。

不思議なもので、たまに、作業中にカンが働くことがあります。
普段しないような手間をかけてみたり、ちょっとした工夫を加えてみたり。

そうしたら、蓮の花のような薄紅色の液が取れました。
蓮の花に導かれたようで、とてもうれしく思いました。

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雑味の少ない、極上の薄紅色です。

これは、一枚目の写真の残液で染めたもの。
薄くなっても色が濁らない、なんとも蓮の花らしい高貴さの漂う色です。
香りもやさしく残りました。


今日は午後から、桜染めのワークショップです。
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左がみょうばん媒染・右が鉄媒染です。(ワークショップでは、みょうばん媒染のみ)

水が変わると色も変化しますので、かならず薄紅色が現れるとは限りません。
桜染めは繊細で難しい染めですが、どう染めても、やはり高貴な、上品な色が染まります。


次回の桜染めワークショップは
9/21(木)13時〜15時@燕カフェ/鎌倉

参加費は¥3500(てぬぐい代金込み)+ご参加時にカフェオーダーをお願い致します。
+¥1500~で手織りショールのご用意もできます。

・燕カフェ:鎌倉駅東口より徒歩10分
ほっこりあたたかな古民家カフェ
丁寧に作ってくれるごはんやスイーツが美味しいです。
神奈川県鎌倉市小町3-2-27
https://kamakura-tsubamecafe.jimdo.com/

* * *


お問い合わせ、お申し込みは

kurrambon@gmail.com



もしくは、こちらのメールフォームをご利用ください。

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ワークショップへのお申し込みの際、softbankなどの携帯端末のメールアドレスをお使いの場合、工房からの返信メールが届かないことが(頻繁に)あります。


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桜染め 桜色のコツ?

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12月の冬の展示会に向けて、シルクストール、ウールストールなどを染めています。
こちらはシルクの大判ショール。
いかにも桜らしい、素敵な色が現れてくれました。

「桜色に染めるコツ」ですが、*弱アルカリ性の溶液にすること *じっくり煮出すこと
の二つです。
(煮出した後に、数日置いておくのも有効です)

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こちらが、普通に煮出している時の色。

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お湯に重曹を溶かすと、赤みを帯びます。
入れ過ぎてしまうと、褐色というか、にごった赤になります。
また、布にもダメージを与えてしまうので、気をつけて加減してください。

冬〜春の間に、桜染めのワークショップを開催できたら、、、と考えています。
また、ブログでお知らせしますね。

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現在、草木染めの本を撮影中なのですが、どうしても「桜の落ち葉染め」を入れたくて、近所の桜の紅葉に気を揉んでいます。

不思議と、鎌倉の桜はあまり色づかないようです。
先日、横須賀カルチャーセンターでの講義の際、いらした方に「湘南地方は温暖なので、桜は紅葉せずに葉を落としてしまうんですよ」と教わりました。
横須賀出身の友人も「桜って紅葉するの?」と。
桜の種類の問題なのか、ちょっとの距離で植物のありかたが随分変化するのか、どちらなのでしょう。

ともあれ、先日、東京へ仕入れに出たついでに代々木公園の桜を見に行ってきました。

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あっ!赤い、赤い。
地面を見ながら、きれいな落ち葉を選って拾い拾い歩きます。

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大きい紙袋いっぱいに採ることができました。
落ち葉いっぱいの紙袋を、意気揚々と持って帰ってきたのですが、ちょっと狐に化かされた人みたい。

今日はこれから野の草染めのワークショップです。
今月の草木染めの日程は、11/13ログウッド染め残席1名さま満席になりました)
11/23栗いが染め残席余裕あります満席になりました)
となっております。
11/26 & 27日のワークショップは満席になっております。
27日は一名さまお席がございます。

11/13&23 13:00〜15:00
会場:燕カフェ 鎌倉駅東口 徒歩8分
費用:¥3500(手ぬぐい代金込み)+カフェオーダー
シルクショールご希望の場合は + ¥1500~

お問い合わせ、お申し込みは
kurrambon@gmail.com

もしくは、こちらのメールフォームをご利用ください。
http://kurrambon.wixsite.com/2013/contact

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そういう場合はメールフォームから返信しております。
迷惑メールフォルダに入ってしまうこともあるので、ご確認くださいませ。

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桜染め 薄紅の色

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桜の剪定枝を選別して、赤みのある枝と枯れ枝とに分けました。
赤みのある枝のほうが薄紅が出やすいと聞きますが、本当かな?枯れ枝には色が無いのかな?
と気になって、染め比べてみることにしました。

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結果。
やはり赤みのある枝のほうが、より薄紅が出やすいようです。(一番左)
かと言って、枯れ枝に全く色が無いかというと、そんなことはありませんでした。(真ん中、右)
淡いですが、やさしい、桜らしい色は健在で、特に鉄媒染にすると艶やかな薄墨色が。
なんて、たおやかな色なんだろう。
薄墨桜の散り際の色は、このような色かしら?と想像してしまいました。

枯れ枝だからと捨ててしまうのは、ちょっともったいないかもしれません。

さて、次回は、桜の枝から薄紅色を出しやすい方法を書きます。
今日はこれからkamakura 24sekkiさんで野の草染めのワークショップです。
よい色に出会えますように、、、。

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11/11(金)は、まだ空きがございます。
画像の時間、間違えています。(すみません)
正しくは13:00〜15:00となります。

鎌倉・燕カフェ 草木染めワークショップは
11/13(日)ログウッド紫染め
11/23(水祝)栗いが染め
11/27(日)蘇芳染め

13:00〜15:00
会場:燕カフェ 鎌倉駅東口 徒歩8分
費用:¥3500(手ぬぐい代金込み)+カフェオーダー
シルクショールご希望の場合は + ¥1500~

お問い合わせ、お申し込みは
kurrambon@gmail.com

もしくは、こちらのメールフォームをご利用ください。
http://kurrambon.wixsite.com/2013/contact

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刈安とコブナグサ 〜草木染めつれづれ〜


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いかにも秋らしい染色のひとつ、刈安(かりやす)。
古くから人々に親しまれた色で、一般に刈安というとイネ科のススキ属のものを指します。
ススキと違って葉っぱにギザギザが無く、刈り取りやすいから刈安とも言われています。

近江刈安とも呼ばれるのは、近江の伊吹山に生える刈安が特に上等とされるからでしょうか。
下草の多い伊吹山で、夏の間にいっぱいの太陽光を浴びて、その葉に色素をたくわえているため特に色が濃いと言われています。
もともと、かなり鮮やかな色素を持っている植物で、染めると輝くような黄色が現れ、布の重量の半量でしっかりと染め付きます。
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昨日は横須賀カルチャーセンターでの連続講座の2回目でした。
今回の講座では、みょうばんで先媒染した後で薄く鉄媒染をかけあわせたところ、秋の入り日のような穏やかな色味になりました。
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そして、同じ刈安と呼ばれる植物がいます。
八丈刈安と呼ばれるコブナグサは、イネ科コブナグサ属のかわいらしい草。
黄八丈の黄色を染め出す染料として八丈島では栽培がされていますが、なんと、うちの近所にコブナグサの群生がありました!
ミニチュア版のススキといった感じで穂は小さく、赤紫がかったような色も混じって、そのかわいらしいこと。
さっそく少量を分けていただきましたが、バケツに生け込んでいてもかわいらしい。

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煮出している間の黄金色を見ていると、うっとりとして、まるで夕映えの野原に降り立ったかのよう。
近江刈安と比べて、少し青みがかっています。
わずかに青みの浮かぶ、つややかな黄色に染め上がりました。
美しい色で、写真を何度撮り直しても、本当のコブナグサの色を写す事ができません。
でも、それでよいのかもしれませんね。

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右側がコブナグサ 左側が刈安

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今週の草木染めワークショップは
10/21(金) 13:00〜15:30
野の草染め 近くの野原に入り、その時に採集できる植物で染めます。
会場:kamakura 24sekki (鎌倉駅西口 徒歩20分 もしくは市役所前からバス5分)
費用:¥3800+素材費+ドリンクオーダー
シルクショール ¥1500~

10月22日(土) 13:00~ 15:30
栗いが染め マロンベージュ or グレー
会場:鎌倉 工房チェラミカスプーモ/kamakura24sekki隣(鎌倉駅西口 徒歩20分 もしくは市役所前からバス5分)
費用:¥5800(手織りシルクショール代金込み)

アクセス:kamakura24sekki
http://24sekki.p1.bindsite.jp/access.html

お問い合わせ、お申し込みは
kurrambon@gmail.com
もしくは、こちらのメールフォームをご利用ください。
http://kurrambon.wixsite.com/2013/contact

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